(前回からの続き)
カウヒらがイムで焼かれる
2つの大きなイム(地下オーブン)が、若者の従者たちの手で、加熱され続けていました(*1)(N.1)。
というのは、カウヒと若者のいずれか一方が死刑になる、と予想されたからです。
そして実際に、カウヒと2人のトラブル・メーカー(あの醜い2人)が、そのイムの中で焼かれました。
さらに、首長の後を追って殉死(じゅんし)したいと願った、家臣や召使いたちも焼かれました。
カウヒを見捨てカハラオプナに仕える
一方、カウヒの家臣たちのより多くは、ご主人の行為に激怒しました。
愛らしく若い女性(カハラオプナ)に、余りにも酷(むご)い仕打ちをしたからです。
そこで彼らはカウヒを見捨てて、彼女に忠誠を誓うようになりました。
カウヒの罪を幾らかでも償(つぐな)うために、彼ら自身が彼女の家臣になりたいと、申し出たのでした。
何故なら彼らの残虐な首長のせいで、彼女は不当な苦しみに襲われながらも、耐えしのいだのですから。
カハラオプナは若者の花嫁に
王は、彼女がその若者の花嫁になることを、正式に許可しました。
なぜならば、若者は彼女を救ったばかりでなく、彼女が受けた理不尽な残虐行為に対して、ありとあらゆる手段で仕返しをしたのですから。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) イム(地下オーブン) (imu(ground oven)):
イムとは地下オーブンのことで、地面に穴を掘って、その底に加熱した石を敷いて作ります。
かつてのハワイでは、大量の食物を素早くかつ効率良く料理するのに、最も容易な方法でした。
また、神に捧げられ生贄(いけにえ)となる人間も、イムで焼かれました。
このお話では、罪人を処刑するためにイムが使われています。
大きな穴を掘るだけでなく、その中に入れる加熱用の焼石も数多く必要なため、準備にも長時間を要します。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.