夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

100 カハラオプナ:(25) カウヒらはイムで焼かれる


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(前回からの続き)

カウヒらがイムで焼かれる

2つの大きなイム(地下オーブン)が、若者の従者たちの手で、加熱され続けていました(*1)(N.1)。

というのは、カウヒと若者のいずれか一方が死刑になる、と予想されたからです。

 

 

そして実際に、カウヒと2人のトラブル・メーカー(あの醜い2人)が、そのイムの中で焼かれました。

さらに、首長の後を追って殉死(じゅんし)したいと願った、家臣や召使いたちも焼かれました。

 

カウヒを見捨てカハラオプナに仕える

一方、カウヒの家臣たちのより多くは、ご主人の行為に激怒しました。

愛らしく若い女性(カハラオプナ)に、余りにも酷(むご)い仕打ちをしたからです。

 

そこで彼らはカウヒを見捨てて、彼女に忠誠を誓うようになりました。

カウヒの罪を幾らかでも償(つぐな)うために、彼ら自身が彼女の家臣になりたいと、申し出たのでした。

 

何故なら彼らの残虐な首長のせいで、彼女は不当な苦しみに襲われながらも、耐えしのいだのですから。

 

カハラオプナは若者の花嫁に

王は、彼女がその若者の花嫁になることを、正式に許可しました。

 

なぜならば、若者は彼女を救ったばかりでなく、彼女が受けた理不尽な残虐行為に対して、ありとあらゆる手段で仕返しをしたのですから。

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) イム(地下オーブン) (imu(ground oven)):

イムとは地下オーブンのことで、地面に穴を掘って、その底に加熱した石を敷いて作ります。

かつてのハワイでは、大量の食物を素早くかつ効率良く料理するのに、最も容易な方法でした。

また、神に捧げられ生贄(いけにえ)となる人間も、イムで焼かれました。

このお話では、罪人を処刑するためにイムが使われています。

大きな穴を掘るだけでなく、その中に入れる加熱用の焼石も数多く必要なため、準備にも長時間を要します。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.