(前回からの続き)
カハラオプナの一行がワイキキに向かう
約束の日、カハラオプナはワイキキに向かいました(*1)。
彼女に付き添ったのは、両親、親族、召使い、そして守護神2人でした。
守護神たちは、その日は人間の姿をしていました。
カハラオプナに同行して、彼女が困った時には助言するためです。
アカアカは、彼女のお祖父(じい)さんです。
2人の若者が対立し始める少し前から、彼はワイキキに住んでいました。
そして間もなく始まる審理に際して、裁判官の1人に任名されました。
彼女の霊を恐れるカウヒ
カウヒは、彼の一族の神官や魔術師たちに、助言を求めていました。
「あの殺された女性が私に危害を加えようとして、人間の姿をしてこの世に現れることはあるのか?」
カエアは、カウヒの一族の有名な神官で予言者でした。
彼はカウヒに応えてこう告げました。
「大きく広がったアぺの葉を持って行き、その上にカハラオプナと彼女の一行を座らせるのです(N.1)。
もしも彼女が霊ならば、アぺの葉の上に座っても、それを裂くことは出来ないでしょう。
しかし、もしも人間ならば、その一枚の葉は、いや何枚か重ねた葉でも、裂けてしまうでしょう。」
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) アペ(a-pe):
アぺ('ape)は、その別名ジャイアント・タロ(giant taro)が示すように、かつてハワイの主食 だったタロ(taro)を大きくしたような植物です。
しかし食料としては非常時を除いて利用されず、タロの方がはるかに好まれました。
一方、ハート形をした葉の大きさは、長さ60~120cm、幅60cmにも達します。
突然スコールなどに襲われた時には、傘としても使えそうな大きさです。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.