夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

096 カハラオプナ:(21) 裁判に向けて


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(前回からの続き)

カハラオプナの一行がワイキキに向かう

約束の日、カハラオプナはワイキキに向かいました(*1)。

彼女に付き添ったのは、両親、親族、召使い、そして守護神2人でした。

 

守護神たちは、その日は人間の姿をしていました。

カハラオプナに同行して、彼女が困った時には助言するためです。

 

アカアカは、彼女のお祖父(じい)さんです。


2人の若者が対立し始める少し前から、彼はワイキキに住んでいました。

そして間もなく始まる審理に際して、裁判官の1人に任名されました。

 

彼女の霊を恐れるカウヒ

カウヒは、彼の一族の神官や魔術師たちに、助言を求めていました。

「あの殺された女性が私に危害を加えようとして、人間の姿をしてこの世に現れることはあるのか?」

 

カエアは、カウヒの一族の有名な神官で予言者でした。

彼はカウヒに応えてこう告げました。

 

「大きく広がったアぺの葉を持って行き、その上にカハラオプナと彼女の一行を座らせるのです(N.1)。

もしも彼女が霊ならば、アぺの葉の上に座っても、それを裂くことは出来ないでしょう。

 

しかし、もしも人間ならば、その一枚の葉は、いや何枚か重ねた葉でも、裂けてしまうでしょう。」

 

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) アペ(a-pe):

アぺ('ape)は、その別名ジャイアント・タロ(giant taro)が示すように、かつてハワイの主食 だったタロ(taro)を大きくしたような植物です。

しかし食料としては非常時を除いて利用されず、タロの方がはるかに好まれました。

一方、ハート形をした葉の大きさは、長さ60~120cm、幅60cmにも達します。

突然スコールなどに襲われた時には、傘としても使えそうな大きさです。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.