(前回からの続き)
カハラオプナの歌にカウヒが仰天
ある日、カウヒがゲームをしていると、彼の向かいにあの若者が座りました(*1)。
そしてカウヒがプレーを終えると、若者はキルを手に取って歌い始めました。
--そうです、カハラオプナが歌った1番目のメレです。
これを聞いたカウヒはびっくり仰天!
キル・ゲームのルールを破って、若者のプレーを遮(さえぎ)り、こう問いただしました。
「どこで、その歌を覚えたのだ?」
彼女は生きている! いや確かに死んだ!
若者は答えました。
「あの有名なマノアの美女、カハラオプナに教わったのです。
彼女は私の妹の友達で、今、私たちの家に来ているのです。」
しかしカウヒは知っていました。
-- その女性の守護神であるフクロウが、彼女の遺体を見捨てたことを。
ですから、 彼女は間違いなく死んだ、と確信していました。
そこでカウヒは、他の奴らは何も知らず嘘をついていると、非難したのでした。
カウヒと若者が大喧嘩
こうして2人は互いに怒りを募(つの)らせ、とうとう大喧嘩(おおげんか)になってしまいました。
そして最後は王の命令が下り、敵対する2人が引き離されたのでした。
次の日の夜、2人はまたそのキル・ハウスに現われました。
カハラオプナの2番目の歌が歌われれると、また昨夜と同じように、怒りに満ちた口論が始まりました。
そして再び、彼らは周囲の人々によって、引き離されたのでした。
(次回に続く)
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.