(前回からの続き)
守護神がカハラオプナを救い出す
カウヒが行ってしまうとすぐに、大きなフクロウが現われました(*1)(N.1)。
このフクロウは神であり、またカハラオプナの親族でもありました(N.2)。
そして家からずーっと、彼女の後について来たのでした。
フクロウは直ぐさま、彼女の体を掘り出しにかかりました。
それが済むと、羽を使って注意深く、体の汚れを払い落としました。
それから、この女性の鼻の孔に息を吹き込んで、彼女を生き返らせたのでした。
そして今度は、自分の顔を彼女のこめかみの傷に、こすりつけました。
こうして一瞬のうちに、彼女の傷も治してしまいました。
カウヒが彼女の再生を知る
一方、カウヒの方は、未だそう遠くまで進んでいませんでした。
そこで彼は、カハラオプナの声に気付いたのでした。
その声は、彼の無情な仕打ちを嘆き歌っていました。
そこでは、彼女を信じてくれるよう、彼に懇願していました。
さらに、せめて彼の主張の真偽を確かめて欲しい! と訴えていたのでした。
この彼女の声を聞いて、カウヒはもと来た道を引き返しました。
すると彼女の頭上には、フクロウが飛んでいました。
これを見た彼には、彼女がどのようにして生き返ったかが、分かりました。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) フクロウ(owl):
ここでいう「フクロウ」は、日本でも見られる 「コミミズク(学名:Asio flammeus)」 の 1亜種です。
ハワイ語名は 「プエオ(pueo)」、学名は "Asio flammeus sandwichensis"で、ハワイにだけ生息するのでハワイの固有亜種です。
(N.2) 神でありかつ親族(a god, and a relative):
ハワイでは死後、人々は神となって親族である子孫を見守る、と考えられています。そして時には子孫を助けるため、色々な形を取ってこの世に現われます。その形はサメ、フクロウ、エレパイオ(鳥)など、多種多様です。これらは神となった祖先(家族神)の化身であり、アウマクア(aumakua)と呼ばれています。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.