夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

086 カハラオプナ:(11) カハラオプナの死


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(前回からの続き)

カハラオプナの懇願

この思いもよらぬ言葉に、若い女性は驚いて、彼の顔を見上げました(*1)。

しかし、カウヒの目の中にあるのは、憎悪と殺意だけでした。

 

そこで彼女は言いました。

「もし私が死なねばならぬなら、なぜ私を自分の家で殺さなかったの? 

そうすれば、召使たちが私の骨を埋めることが出来たのに。

 

 

しかしあなたは私を、この原生林に連れて来てしまった。

ここで、一体、誰が私を葬ってくれるの?

 

その前に、もし私がずーっと、あなたを裏切り続けていると思うなら、

なぜ、それを信じる前にその証拠を探さないの?」

 

カウヒの一撃で死ぬ
しかし、この彼女の必死の願いも、カウヒは聞こうとしませんでした。

 

恐らくそれは、彼の脳裏にこんなことを思い起こさせた、唯それだけだったのでしょう。

「あれこれ考えた所で、結局は大きな無駄になるだけだ。」

 

彼は彼女のこめかみを、ハラの実の房で殴(なぐ)りつけました。

 

そのずっしりと重い実は、マヒナウリでちぎり取ったものでした。

彼はそれを、今まで肌身離さずに持っていたのでした。

 

 

その実の一撃で、女性は死んでしまいました。

カウヒは急いで岩の脇に穴を掘ると、彼女を埋めました。

 

そして彼は、ワイキキの方角に向かって、谷を下りて行きました。

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.