(新しいお話しの始め)
4人のマウイ兄弟たち
マウイとヒナは一緒に住んでいました(*1)。
そして2人の間に、4人の男の子が生まれました。
彼らの名前は、マウイ・ムア、マウイ・ホペ、マウイ・キイキイ、そしてマウイ・オ・カ・ラナでした(N.1)。
日の出と共に漁場に向かう
彼ら4人は漁師でした。
ある朝、太陽の上端がほんの少し見え始めた、ちょうどその時、
魚を捕りに行こうとして、マウイ・ムアが兄弟たちを起こしました。
彼らはマウイ島のカウポに住んでいたので、
その砂浜からカヌーを出して、漁場に向けて進みました。
ほら! 岸辺に火が見える
漁場に着いた彼らは、漁(りょう)の準備を始めました。
その時、マウイ・オ・カ・ラナは、岸辺が明るいことに気付きました。
彼らが後にしたあの岸辺に、明かるく燃える火が見えたのです。
彼は兄弟たちに、こう言いました。
「よく見て、あそこで火が燃えているよ。
あの火は、一体、誰のだろう?」
まず最初に魚を捕ろう
兄弟たちは、答えました。
「本当だ、誰の火なんだろう?
あの岸辺に戻ろう、あの火があれば、食べ物を焼いたり蒸したり出来るぞ。
だけどまず最初に、みんなで魚を捕ろうよ。」
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) Maui-mua(マウイ・ムア):
前のお話し 「Ⅰ. 太陽を捕まえる」では、主人公のマウイはヒナの息子でした。
しかしここではヒナの息子が4人も登場し、主役はその中の1人、マウイ・ムアです。「ムア(mua)」 = "oldest"なので最年長、すなわち長男です。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅱ. Exploits of Maui. Rev. A.O. Forbes, Ⅱ. The Origin of Fire, p.33-35.