夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

033 火の起源:(4) お願いだから殺さないで


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(前回からの続き)

ヒョウタンに騙(だま)される

兄弟たちは、マウイ・ムアに言われた通りにしました(*1)。

そしてその翌朝、彼らが漁(りょう)に出かけた、その時です。

 

アラエはカヌーの中の人影を数え、4人の姿を確認しました。

それから彼らは、火をつけました。

 

そして火の上にバナナを置いて、焼き始めたのでした。

バナナが十分焼き上がる前に、一羽のアラエが大声で叫びました。

 

「私たちのご馳走が出来上がったわ!

ほら見て。ヒナは賢い息子を持ったものね。」

 

マウイ・ムアがアラエを捕まえる

それまでアラエたちは、マウイ・ムアに気付きませんでした。

しかし彼はこっそりと、彼女らのすぐ近くまで忍び寄っていたのでした。

 

そして、このアラエの叫び声と共に、彼は素速く飛び出して来ました。

そして、尾がカールしたアラエを捕まえると、大声で叫びました。

 

「よーし、お前を殺してやる。

この、いたずらっ子のアラエめ!

 

いいか! まさにお前が、火をわしらから隠しているんだ。

だから、お前をぶっ殺してやりたいんだ。」

 

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お願いだから殺さないで

すると、アラエは答えました。

 

「もしも私を殺したら、火の秘密も一緒に無くなってしまう。

それでは、火が手に入らないでしょう。」

 

マウイ・ムアがアラエの首を絞め始めたので、アラエはこの答えを繰り返し、

さらに、こう言いました。

 

「お願いだから殺さないで。そうすれば、あなたに火をさし上げましょう。」

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅱ. Exploits of Maui. Rev. A.O. Forbes, Ⅱ. The Origin of Fire, p.33-35.