夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

019 ケクプアのカヌー:(1) カヌーの木を探す旅


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(新しいお話の始まり)

タヒチに行きたいのです

首長のカカエは、オアフ島のワイアルア、クカニロコ、ワヒアワに住んでいました(*1)(N.1)。

 

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ある日、彼に向かって妻が言いました。

 

「是非とも私の弟カハナイアケアクアを、探しに行きたいのです。

きっと弟は、タヒチに住んでいます。」

 

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妻を乗せるカヌーを造れ

そこでカカエは早速、家臣のケクプアにこう命じました。

 

「森のなかに行きなさい。

そして良い木を見つけて、カヌーを造るのだ。

妻が遠くの国へ旅立つのだから。」

 

良い木を求めて森をさまよう

ケクプアは、何人かの従者を引き連れて、

ワヒアワ、ヘレマノ、そしてワオアラの深い森林地帯を探しました。

 

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さらにコオラウの森もあちこち探しましたが、うまく行きませんでした。

 

コナ(ホノルル)にやって来る

彼らは、今度はカハナから始めて、幾つもの山の中を、注意深く探して行きました(N.2)。

 

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そして遂に、彼らはカリヒ渓谷のキロハナまでやって来ました(N.3)。

それから更にヌウアヌ渓谷のワオラニへと進み、ある洞窟の中で眠りに就きました。

 

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) ワイアルア(Waialua) , ワヒアワ(Wahiawa), クカニロコ(Kukaniloko):

ワイアルアは、オアフ島の北西部を占めるモクです。

ワヒアワは、そのモクの南東部、コオラウ山脈寄りにあったアフプアアです(*2)。 現在よく見られるオアフ島アフプアア図で、カマナヌイ(Kamananui)と記されている部分の中の、コオラウ山脈寄りの部分です。

またクカニロコ(Kukaniloko)は、今では「バース・ストーン」で有名な人気観光スポットです。

(N.2) カハナ(Kahana):

カハナはワヒアワの東隣(風上側)にあるアフプアアです。

(N.3) カリヒ(kalihi), ヌウアヌ(Nuuanu) :

カリヒは、オアフ島南東部を占めるモク、コナ(Kona)を構成するアフプアアの一つです。 カリヒの谷の最上流部にあるキロハナは、その谷の最高峰です。

ヌウアヌは、カリヒの南東側に並ぶ大きな谷で、コナのアフプアアの一つです。

 

(注記)

(*1) T.G.Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X. Stories of the Menehunes, Kekupua's Canoe Thos.G.Thrum, p.114-116.

(*2) J.M.Donn and W.E.Wall(1902): Oahu, Hawaiian Islands.