(前回からの続き)
カヌーは森の中で完成していた
それからラカは、坂道を上って森の中にやって来ました(*1)。
するとカヌーはもう完成しており、いつでも浜に向けて引き出せそうでした。
メネフネたちはラカにこう伝えました。
「あなたが建てた長い小屋に、今夜、このカヌーを運ぶよ。」
ハミングに合わせてカヌーを運ぶ
そして真夜中、メネフネたちのハミングが聞こえました。
いよいよカヌーを持ち上げる作業が始まったのです。
カヌーを運ぶ時は、引きずるのではなく、手で持ち上げるのです。
2番目のハミングで、カヌーはプエオのハロアメキエイへ運ばれました。
そして3番目のハミングで、長い小屋の中に注意深く置かれました。
こうしてカヌーはメネフネたちにより、一夜のうちに注意深く、ラカの小屋に収められたのでした。
メネフネたちにご馳走する
さあ今度は、ラカがメネフネたちにご馳走する番です。
働き者メネフネたちのために、食物と魚が所狭しと並べられました。
食物ではタロの茎、そして魚はオパエ(小海老)とオオプ(ハゼの仲間)です。
やがて夜が明けると、メネフネたちはご馳走に満足して、彼らの家に戻って行きました。
消えゆく遺跡
カヌーを収めた長い小屋の名前は、クアハラウと言いました。
つい数年前までは、その基礎の跡を見ることが出来ました。
しかし残念ながら、今ではその跡さえも、掘り起こされてしまいました。
一方、ラカが木の横に掘った穴は、今も残っています。
(終わり)
(注記)
(*1) T.G.Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X. Stories of the Menehunes, Laka's adventure Thos.G.Thrum, p.111-114.