(前回からの続き)
メネフネがやって来た
神々に呼び掛けるチャントが終わると、今度はハミングや話し声が聞こえて来ました(*1)。
そしてそこは、またたく間に(マナワ・オレ)、人また人で溢(あふ)れ返りました。
集まった人は誰も彼も皆、倒れた木を起こそうと、力を振り絞りました。
しかしその木は、びくともしませんでした。
ラカが2人を捕(つか)まえる
それを見たラカが、素速く隠れ場所から飛び出しました。
そしてあっという間に、集まった男たちの中から2人、モクハリイとカパアイケエを捕まえてしまいました。
ラカは、この2人を脅(おど)そうと思って、こう言いました。
「今度、俺(おれ)の木を起こしたら、お前らを殺してやるぞ!
あれはカヌーを造るために、俺が切り倒したんだ。」
メネフネの反論
するとモクハリイは、ラカにこう言いました。
「もしも私ら2人が殺されたら、カヌーを造れる人がいなくなってしまう。
カヌーを砂浜まで引き出す人だっていない。
でも、私らを助けてくれたら、私らが喜んでお手伝いしましょう。
2つのお願い
ただしそれには、お願いが2つあります。
1番目は、あなたが大きくて長い小屋(ハラウ)を建てること、
カヌーを入れるのに十分な寸法の小屋です。
そして2番めは、ここに集まった男たちに、十分な食物を用意することです。」
交渉成立
ラカは喜んでこのお願いを受け入れ、2人を解放しました。
そして自分も家に帰り、プヒカウの平地に1棟の小屋を建てました。
(次回に続く)
(注記)
(*1) T.G.Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X. Stories of the Menehunes, Laka's adventure Thos.G.Thrum, p.111-114.