(前回からの続き)
木を切り終わって家に帰る
ラカは、このおばあさんの助言に従いました(*1)。
そして、カヌーを造るための木を見つけに、山に入って行きました。
ちょうど良さそうな木を見つけると、彼は朝からその木を切り始めました。
そして日が沈むまでに、切り倒してしまいました。
こうして一(ひと)仕事終わらせると、彼は家に帰って行きました。
切り倒した木が消えた!
次の日、昨日(きのう)の場所に戻った彼は、あっ! と驚きました。
切り倒したはずの木が、消えてしまったのです。
そこで、彼はもう一本別の木を切り倒しましたが、結果は前の日と同じでした。
ラカはこの不思議な出来事に、幾日も幾日も悩まされました。
三日月形の葉を探すんだよ
困り果てたラカは、再びおばあさんに助けを求めました。
するとおばあさんは、前と同じ助言を与えて、ラカを山に送り出したのでした。
「三日月形の葉を探すんだよ(N.1)。」
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) 三日月形の葉(crescent-shaped leaf) :
「三日月形の葉」を持つ木の種類については、原文には記載がありません。
しかし、葉の形状が三日月形で、カヌーの材料であることから、コア(Koa)の木だろうとと推測できます。
コアはかつてのハワイで、最も貴重な木だったとも言われ、学名は "Acacia koa"で ハワイの固有種です。
(注記)
(*1) T.G.Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X. Stories of the Menehunes, Laka's adventure Thos.G.Thrum, p.111-114.