夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

015 ラカの冒険:(3) 切り倒した木が消えた


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(前回からの続き)

木を切り終わって家に帰る

ラカは、このおばあさんの助言に従いました(*1)。

そして、カヌーを造るための木を見つけに、山に入って行きました。

 

ちょうど良さそうな木を見つけると、彼は朝からその木を切り始めました。

そして日が沈むまでに、切り倒してしまいました。

 

こうして一(ひと)仕事終わらせると、彼は家に帰って行きました。

 

切り倒した木が消えた!

次の日、昨日(きのう)の場所に戻った彼は、あっ! と驚きました。

切り倒したはずの木が、消えてしまったのです。

 

そこで、彼はもう一本別の木を切り倒しましたが、結果は前の日と同じでした。

 

ラカはこの不思議な出来事に、幾日も幾日も悩まされました。

 

三日月形の葉を探すんだよ

困り果てたラカは、再びおばあさんに助けを求めました。

 

するとおばあさんは、前と同じ助言を与えて、ラカを山に送り出したのでした。

「三日月形の葉を探すんだよ(N.1)。」

 

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(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) 三日月形の葉(crescent-shaped leaf) :

「三日月形の葉」を持つ木の種類については、原文には記載がありません。

しかし、葉の形状が三日月形で、カヌーの材料であることから、コア(Koa)の木だろうとと推測できます。

コアはかつてのハワイで、最も貴重な木だったとも言われ、学名は "Acacia koa"で ハワイの固有種です。

 

(注記)

(*1) T.G.Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X. Stories of the Menehunes, Laka's adventure Thos.G.Thrum, p.111-114.