夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

016 ラカの冒険:(4) 穴に潜んで彼らを待つ


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(前回からの続き)

穴に潜んで彼らを待つ

おばあさんに言われて、ラカは再び山に入り、お誂(あつら)え向きの木を見つけました(*1)。

 

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しかし彼はそれを切り始める前に、横に大きな穴を掘りました。

穴の中に 「カララ・カマヘレ(Kalala-Kamahele)」を倒れ込ませよう、と考えたからです(N.1)。

 

計画は完璧でした。

実際にその木を切って見ると、木はその穴というか溝の中に、思った通りに倒れ込みました。

そして木に続いて、ラカ自身もその溝に飛び込み、横になって身を隠しました。

彼はその溝の中で、「奴」 いや「奴ら」(?)が現れるのを、じっと待つことにしたのです。

 

「奴ら」って誰のことだって? そりゃー決まってますよ。

ラカが木を切り倒す度(たび)に、その木を夜中に立て起こした、あの「奴ら」ですよ。

 

話し声 そしてチャント

こんな風にして待っていると、誰かの話し声が聞こえて来ました。

その声は、彼が切り倒した木を、立て起こして元の姿に戻そう、と話していました。

 

そして、お次は歌声。誰かがこんなチャントを歌っていました(N.2)。

 

おお! 4千の神々よ、

4万の神々よ、

40万の神々よ、

 

列をなした神々よ、

寄り集まった神々よ!

 

これらの森の神々よ、

あの山の、

そしてあの丘の、

またこのダムの神々よ、

 

おお、来られよ!

 

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) カララ・カマヘレ(Kalala-Kamahele) :

「カララ・カマヘレ」の部分は、ハワイ語で記載されたままで、英訳などもありません。お話しの流れから推測すると、「見事な大木」 と言った意味かも知れません。

なお、古代ポリネシア人のカヌーを複製した「ホクレア」の、伴走船の名前は カマ・ヘレ(Kama-Hele;ここでは「旅人」の意味)でした。

 

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(N.2) チャントを歌う(chanting) :

原文では、以下に続くチャント本文はハワイ語で記載され、脚注に英訳が付いています。ここでは、その英訳を基に和訳しました。

 

(注記)

(*1) T.G.Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X. Stories of the Menehunes, Laka's adventure Thos.G.Thrum, p.111-114.