夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

040 ペレとカハワリ:(2) ペレの怒りが爆発する


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(前回からの続き)

あなたのそりが欲しい

再びスタートする前に、ペレはカハワリに、あなたのパパ・ホルア(そり)を下さい、と頼みました(*1)。

しかしその時のカハワリには、目の前の女性が女神ペレだとは、想像すら出来ませんでした。

その風貌(ふうぼう)から見て、彼女はただの地元の一女性だったからです。

そこでカハワリは、こう答えました。

「アオレ!(冗談じゃない!)(N.1)

私のそりを欲しいって?

そんな事を言うとは、あんた、私の妻にでもなったつもりか?」

 

カハワリがそりに飛び乗る

そして、遅れていることに、しびれを切らしたかのように、

カハワリはパパ(そり)を調整すると、ジャンプするための助走を、数mほどしました。

それから、その勢いに乗りながら、全力を振り絞って、そりに飛び移りました。

そして、素早く丘を滑り降りてしまったのでした。

 

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ペレの怒りが爆発する

一方、ペレはカハワリの返事に激怒して、地面を両足で踏みつけました。

すると地震が起こり、丘をずたずたに引き裂いてしまいました。

 

それから彼女は、大声で何かに呼びかけました。

すると今度は、炎が立ち上り、ドロドロのラバ(溶岩)が噴き出して来ました。

 

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ペレはこれらの、抵抗のしようもない、復讐鬼(ふくしゅうき)たちを引き連れ、

自らは神秘的な姿に変身して、その丘を下って行きました。

(次回に続く)

 

(ノート)
(N.1) アオレ!(Aole!):

「アオレ!」と、カハワリがペレを怒鳴りつけたのは、当時のハワイが厳格な階級社会だったからです。

その中で、首長カハワリは支配階級でしたが、女神ペレの方は、ただの地元の一女性に変身したので、平民に見えたのでしょう。

その平民が首長のそりを欲しがる事など、たとえお祭り騒ぎの中でも、決して許されなかったのです。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅳ. Pele and Kahawali, From Ellis's "Tour of Hawaii", p39-42.