(前回からの続き)
地面の亀裂を渡る
溶岩の塊が、近くに転がって来ます(*1)。
カハワリはその中を、走り続けていました。
ところがある時、地面に生じた深い亀裂(きれつ)に、行く手を阻(はば)まれてしまいました。
彼は、持っていた幅広の槍(やり)を亀裂の上に置き、
その上を歩くことで、無事に亀裂を渡ることが出来ました。
友達を助ける
しかし、彼の友達が大声で助けを求めていました。
カハワリは亀裂の向こう側に、槍を差し伸べました。
そして仲間がしっかりと握ると、その槍を慎重に引き寄せました。
一方、女神ペレの方は と言うと、
この亀裂の中を、速度を増しながら下り、迫っていました。
妹に会う
カハワリは、クラに着くまで走りました。
彼はここで、妹のコアイに会いました。
しかし時間が無くて、これしか言えませんでした。
「アロハ・オエ! (ああ、悲しいかな!) (N.1)」
そしてそれから、海辺に向かって走り続けたのでした。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) アロハ・オエ(Aloha oe);
原文は, "Aloha oe!" (Alas for you!)、 と記されています。前半はハワイ語、後半(カッコ内) が英語訳です。
なお、前回(101回)、母に呼びかけた時の原文は、"Aloha--" (Compassion--) 、ですから、 "Aloha" の意味合いが、両者で若干異なります。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅳ. Pele and Kahawali, From Ellis's "Tour of Hawaii", p39-42.