2025-01-01から1年間の記事一覧
(前回からの続き) その子が生後約2ヶ月の時、大空が厚い雲に覆われ、ほら、稲妻と地震を伴った激しい嵐が近づいて来ました(*1)。 カオペレは深海のじめじめしたベッドで目を覚まし、両足を縛った紐(ひも)をほどくと、超人的パワーで海水を3掻(か)きして海…
(前回からの続き) その翌日、あらゆる友人や近所の人たちが集まりました。そして彼らの手が空(す)くと、小声でこんな風に語り合っていました。 「あれが例の男だね、---ワイルアの神社の祭壇に奉納されていた、と言う。」 夕方になると、彼は皆にアロハと挨拶…
(前回からの続き) 「 もしも生まれて来る子が男だったら、その子の名前はカレレアルアカにしなさい(*1)。 しかし、もしも女の子だったら、君の家系の名前から、好きなように付けなさい。」 この彼の様子から不安にかられた彼女は、疑い深そうにこう言いました…
(前回からの続き) その翌朝、またもや、カオペレはとても早く起きると、まだ妻が眠っている間に、隣人の家に行って、釣り針と釣り道具一式を借りました(*1)。 それから、自分で餌を手に入れると海に釣りに行き、とてつもなく沢山の魚を釣り上げました。 家に…
(前回からの続き) 彼が出かけた後、妻は物音に驚いてハッと目を覚まし、夫がいないことに気付きました(*1)。 彼女は隣の家に行き眠っていた両親を起こすと、夫が消えたことを知らせました。しかし彼らは夫の行方(ゆくえ)について、何一つ知りませんでした。 …
(前回からの続き) このプロポーズは、少女の両親から見れば良い話しでしたし、彼女自身も気が進まない所は何もありませんでした(*1)。 しかし、けなげな乙女らしい礼儀正しさから、彼女はこんな風に主張しました。 「まずはプロポーズしたい人を連れて来て、…
(前回からの続き) 6度目の月の満ち欠けがちょうど一巡した真夜中、雷鳴がとどろき大地が揺れました(*1)。 するとカオペレは生き返って、あの祭壇から降りて来ました。そして、近所の家の隙間から灯(あか)りが漏れ輝くのを見ると、彼はその灯りに向けて歩い…
(前回からの続き) それでも彼は大望を遂げるべく休むこともなく、今度は同じオアフ島のラフイマロへ行き、これまでとは別の1つの食用作物を植えます(*1)。 それから6ヶ月が過ぎ、彼は今まさに労働の成果を口にしようとしています。 ところがある日、水浴び…
(前回からの続き) こうしてカオペレは大人になるまで、両親と一緒に暮らしていましたが、彼のトランスの習慣は依然として変わりませんでした(*1)。 そしてある日、彼はこう言って、両親を深く悲しませました。 「行って来ます、アロハ。」 彼らがお互いの愛情…
(前回からの続き) 我が子への強い愛情から、母は必死の思いで父に頼みました(*1)。 「あの子を探しに行って下さい。」 しかし彼は、はっきりとこう言いました。 「 探したって無駄さ、あの子はずーっと前に死んだんだから。」 とは言っても、いつの時代も同じで…
(新しいお話の始め) カオペレはハワイ島のワイピオ渓谷で生まれました。 生まれた時、彼は息をしていなかったので、両親はひどく悩みました。 しかし、彼らは息子の体をきれいに洗い清めました。そして素晴らしい衣装で盛装させると、数日間、心配そうにその…
(前回からの続き) 「『貴方はその中に入らねばなりません、私達が貴方を入れましょう!』 と、私の虐待者たちが言いました。 彼らは私を捕(つか)まえると、頭を先頭にして、私の足の親指の中に押し込みました。」 「私は、もがいたり抵抗したりせずには、いられ…
(前回からの続き) 「 私は戻りたくありませんでした(*1)。 私は、一緒にここに置いてくれるよう彼らに懇願し、さらに神に祈願したのですが、彼らの答えはこうでした。 『いいえ、貴方は戻らねばなりません。そして、もしも貴方が素直に戻らないならば、私達が…
(前回からの続き) 「これまで、誰も住んでいなかった道路に沿って、家がぎっしりと立ち並び、人々が溢(あふ)れていました(*1)。 素敵な土地にはどこも、沢山(たくさん)の家が建ち、そこには沢山の、実に沢山の幸せな人々が住んでいました。 そのなかで私もま…
(前回からの続き) その家、そしてその村を出ると、私は隣村に向けてひたすら歩き続けました(*1)。 そして隣村に着いた私は、意外なことに、幾つもの人だかりに出くわしました。 --- おー、何と沢山の人たちでしょう! 私が知っていたその場所は、家が数軒あ…
(前回からの続き) 彼らがマット上に座って、死者を見つめたり、年老いた母の話しに耳を傾けたりしていた時、突然、カリマが動いて、長いひと呼吸をすると両目を開けました(*1)。 彼らはこの奇跡にびっくり仰天しましたが、彼女が戻って来たのでこの上なく幸…
(前回からの続き) 「ああ、どうして。」 彼女は叫びました。 「神々は私を見捨てたのですか? 私は老いぼれで、随分(ずいぶん)と年を取っています。背中は曲がり、目は見え難(にく)くなって来ています。 私はもう働けません。 年を取り過ぎて体が衰えたので、海…
(新しいお話の始め) カリマは何週間もの間、ずーっと病(やまい)に伏していましたが、とうとう息を引き取ってしまいました。 友達が彼女の周囲に集まって、深い悲しみから大声で泣き、また、彼女への愛情や彼女を失った悲しさを、あれこれ語り合いながら、彼…
(前回からの続き) サーフィンの季節がやって来た それから暫(しばら)くして、あの王の死が最早(もはや)どうでも良いこと(イ・メア・オレ)になり、また王自身も以前のように元気になった時、それでもなお、神官は警告をやめずにこう言いました。 「貴方は、今回…
(前回からの続き) 大きな鳥がミルを襲う それからほぼ3週間後、大変美しい羽根の大きな鳥が現われて、ワイピオに再び騒がしい歓声が沸き上がりました(*1)。 この鳥は、雲間(くもま)から流れ星の如く現われると、コアエケアとカホロクアイワのパリ(断崖絶壁)…
(前回からの続き) ロノプハの警告 ミルがピピピに移るにあたり、ロノプハは彼にこう忠告しました(*1)。 「おお、王よ! 貴方(あなた)は定められた期間、完全に平静を保ちつつ、この家に住まねばなりません。 ですから、予(あらかじ)め警告しておきますが、万…
(前回からの続き) 「ロノプハは素晴らしく腕の立つ医者だ。何故ならもしも彼の卓越した医療処置がなかったら、あの病(やま)いに苦しんだ人々は、死んでいただろうから(*1)。」 こんな評判を耳にしたミル王は 、使者を送ってロノプハを連れに行かせました。 ロ…
(前回からの続き) 彼らがククイハエレに到着する少し前、カマカヌイアハイロノがロノプハに、こう言いました。 「貴方が開設する診療所が、上手く行かないことの無いように、私達は離れて住んだ方が良いでしょう。そうです、貴方の腕を世に認めてもらうために…
(前回からの続き) ヒーリングを学びたいのですカマカヌイアハイロノが旅を楽しんでいると、誰かが激しい息遣いで、後ろから近づいて来ました(*1)。振り返って見ると、それはあの首長だったので、彼は(こう)尋ねました。 「どうしたのですか、 ロノさん? あな…
(前回からの続き) 首長ロノが倒れる カマカヌイアハイロノの所見を聞いた何人かが首長のところへ走り、あの不可解な言葉を首長に伝えました(*1)。 「彼は大変な重病人だ。」 これを聞いたロノは、オオ(鋤(すき))を振り上げて言いました。 「私はここだ、ここに…
僭主ペイシストラトスと同時代に生きたのが、有名な童話作家イソップです。 彼はギリシャ植民地の奴隷でしたが、語りの才が認められ解放されると、童話の語り手として各地を巡りましたが、アテネ西方約200kmにあり、アポローン神託で知られる聖地デルポイで…
ペイシストラトスはまた、守護女神アテナの生誕を祝うパンアテナイア祭にも力を注ぎ、古代アテネで最大と言われる大きな祭に育て上げました。 その内容は多彩で、2輪戦車競走やスポーツ競技から、詩や歌をうたって競うものまでありました。 中でも重要なの…
僭主となったペイシストラトスは、戦いに敗れた貴族の土地等を、自らの支持層である小農民に分配しました。 またアテネの気候に適したオリーブ栽培を奨励し、農地や農機具の購入を支援すべく、ローンを準備しました。 一方、アテネ市街地では、公共建物や給…
ところが555BC頃、アテネの守護女神アテナを装った女性と並んで、黄金の2輪戦車に乗った彼が、さっそうと人々の前に現われました。 対抗勢力の分裂により、彼は再び僭主としてアテネに迎え入れられたのです。 , そしてまた、こんな噂が流されたのでした。 「…
既に王政から貴族政治に移行していたアテネでは、貴族と平民の対立が次第に激化して行きました。 その中で、紀元前594年(594BC)、「ソロンの改革」と呼ばれる大改革が断行されました。 しかし、それは貴族・平民のいずれからも受け入れられず、平民の不満は募る…