夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

097 カハラオプナ:(22) カハラオプナは霊ではない


スポンサードリンク

(前回からの続き)

予言者のテストを王が許可する

王のお許しが出て、このテストが行われました。

 

王は最高位の首長たちを周囲に控えさせて、これに立ち会いました。

また、このテストを一目見ようと、数え切れない程の人々が、島の隅々から集まりました。

 

カハラオプナの一行がテストを知る

カハラオプナの一行が、テストの現場に向かっている時のことでした。

 

守護神たちが、あの「アぺの葉テスト」の情報を彼女に伝え、こう忠告しました。

「それらの葉を、思いっきり強く踏みつけて、引き裂くのです。」

 

と言うのは彼女たちは霊なので、葉の上に座っても、恐らく引き裂くことは出来なかったでしょう。

 

ですから、もしも誰かが守護神たちに注意を向けたら、それはもう大変だったでしょう。

彼女らは霊であることが見破られて、ポエ・ポイ・ウハネ(霊を捕える者)に殺されたでしょう(N.1)。

 

彼女は人間だ、だが霊の気配がする

さてその若い女性カハラオプナは、テストで求められたことを忠実に実行しました。

 

カエアは、テストで引き裂かれた葉を見て、こう言いました。

「彼女は明らかに人間だ。

 

だが、霊たちがいる気配もあるので、その警戒を続けよう。

霊たちはその女性と、きっと何かでつながっているから。」

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) ポエ・ポイ・ウハネ(poe po-i uhane):  

ポエ・ポイ・ウハネ は 3つの語から合成されたハワイ語で、各々、 po'e = 人々、po'i = 両掌(てのひら)で捕える、'uhane = 霊、を意味します。

従って、ポエ・ポイ・ウハネとは 「霊を捕える人 」を意味するハワイ語で、この語を英語表記すると "spirit catchers"となります。なお最初のポエを省略した、ポイ・ウハネ(po'i 'uhane) 、も同じ意味の語です。

かつてのハワイではこのポイ・ウハネは、霊を見ることが出来る上に、両手で捕えることも出来るとされていました(*2)。

 

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.

(*2) M.K.Pukui et al.(1979) : Look to the source, Vol. I, Queen Lili'uokalani Children's Center, p.194.