(前回からの続き)
カウヒの一撃が再び彼女を襲う
このカハラオプナの問に、カウヒは一言も答えませんでした(*1)。
それどころか、ハラの木の枝で再び彼女を殴ったのでした。
そして前の時と同じように、彼女はすぐに死んでしまいました。
彼は彼女が倒れた場所の近くに穴を掘り、彼女を埋めました。
そしてカケアの尾根の道を通って、ワイキキに向かい始めました(N.1)。
すると、彼の姿が見えなくなるかならないうちに、またあのフクロウが現れました。
そして前と同じように、女性の体の汚れを払い取り、生き返らせたのでした。
生き返ったカハラオプナは彼に従う
彼女は再び、彼の後について歩きました。
歩きながら彼女は愛の歌を歌い、また愛する彼の怒りを嘆き悲しんで歌いました。
そして、理にかなわぬ疑いを忘れて欲しい、と彼に懇願しました。
ワオラニの尾根で彼女を殺す
彼女の声を再び聞いたカウヒは、急いで引き返しました。
そして、彼の後についてくるよう彼女に命じました。
彼らはヌウアヌ渓谷のカニアカププに下り、それからワオラニの尾根に移りました(N.2),(N.3)。
彼はそこで再び忠実なこの女性を殺し、そして埋めたのでした。
しかし彼女は再び、あのフクロウに助けられて生き返りました。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) カケアの尾根(kakea ridge):
「カケアの尾根」は、マノアとヌウアヌの両渓谷を分かつ尾根で、カケアの丘(Puu kakea)とも呼ばれます。
(N.2) カニアカププ(Kaniakapupu):
カニアカププは、ヌウアヌ渓谷上流にある聖地です。カメハメハ三世はこの地に夏の離宮を建てました。また、かつてはここに農耕の神ロノ(Lono)を祀(まつ)る、ヘイアウがあったとも言われています。
(N.3) ワオラニ(Waolani):
ワオラニの尾根とは、ヌウアヌ渓谷内に突き出た小さな尾根のことです。この尾根に囲まれたワオラニ渓谷は、ハワイで最も神聖な地とも言われています。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.