夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

085 カハラオプナ:(10) 君は死なねばならぬ


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(前回からの続き)

不機嫌そうなカウヒ

彼女の出かける準備が済むと、彼はついて来るよう合図しました(*1)。

そして一言も無く、背を向けて歩き出しました。

 

彼らはクマカハを通リ過ぎてフアレアに行きました。

その時、女性が言いました。

 

「一休みして、何か食べてから行きませんか?」

 

彼は、ずいぶんと不機嫌そうに答えました。

「私は何も食べたくない、食欲が無いんだ。」

 

怒らせたのは君だ

こう言いながら、彼はとても厳しい表情で、彼女を睨(にら)みつけました。
そこで彼女は、彼に向かって大声でこう叫びました。

 

「あなた、私のことを怒ってるの?

私、何か気に障ることでもした?」

 

彼はただ、こう言いました。

 

「なぜって? 君が仕出かしてくれたこと、

あれで腹が立っているんだ!」

 

君は死なねばならぬ

彼は進み続け、彼女はその後からついて行きました。

そして、アイフアラマの大きな石の所まで来た時のことです。

 

 

彼はいきなり振り向くと、後ろの若い女性と向き合いました。

彼女を見つめる彼の表情には、強い恋心と激しい憎しみが、入り混じっていました。

 

長い沈黙の後、深いため息をついて、遂に彼が口を開きました。

「君は美しい、私の許嫁(いいなずけ)だ。


しかし、君はずーっと裏切り続けている。

だから君は死なねばならぬのだ。」

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.