(前回からの続き)
不機嫌そうなカウヒ
彼女の出かける準備が済むと、彼はついて来るよう合図しました(*1)。
そして一言も無く、背を向けて歩き出しました。
彼らはクマカハを通リ過ぎてフアレアに行きました。
その時、女性が言いました。
「一休みして、何か食べてから行きませんか?」
彼は、ずいぶんと不機嫌そうに答えました。
「私は何も食べたくない、食欲が無いんだ。」
怒らせたのは君だ
こう言いながら、彼はとても厳しい表情で、彼女を睨(にら)みつけました。
そこで彼女は、彼に向かって大声でこう叫びました。
「あなた、私のことを怒ってるの?
私、何か気に障ることでもした?」
彼はただ、こう言いました。
「なぜって? 君が仕出かしてくれたこと、
あれで腹が立っているんだ!」
君は死なねばならぬ
彼は進み続け、彼女はその後からついて行きました。
そして、アイフアラマの大きな石の所まで来た時のことです。
彼はいきなり振り向くと、後ろの若い女性と向き合いました。
彼女を見つめる彼の表情には、強い恋心と激しい憎しみが、入り混じっていました。
長い沈黙の後、深いため息をついて、遂に彼が口を開きました。
「君は美しい、私の許嫁(いいなずけ)だ。
しかし、君はずーっと裏切り続けている。
だから君は死なねばならぬのだ。」
(次回に続く)
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.