夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

084 カハラオプナ:(9) 嫉妬で怒り狂うカウヒ

(前回からの続き)

愛らし過ぎたカハラオプナ

彼は恐らく、カハラオプナが家から出て来たその時に、彼女を殺そうと考えていたのでしょう(*1)。

ところがその女性は、何のためらいもなく彼に言われるがままで、しかもその姿は余りにも愛らし過ぎました。

 

その様子を目の当たりにして、彼は暫(しばら)くの間、戸惑ってしまいました。

そして魅せられたように、じっと彼女を見つめていました。

 

それから彼は、彼女にこう言いました。

 

「水浴びに行きなさい。

その後で森を散歩するので、私について来る準備をしなさい。」

 

 

カハラオプナの眩(まばゆ)い光

カハラオプナが水浴びをしている間、カウヒは不機嫌そうな表情で、ずーっと座っていました。

 

そして、まぶしい程にぱっと輝く光を、じっと見つめていました。

それは虹から放たれる光線群のように、泉の上を軽やかに動き回っていました。

 

カウヒの心が揺れる

彼の心は揺れ動き、ある時は嫉妬で、ある時は後悔の念で満ち溢(あふ)れました。

そしてまたある時は、この女性のこの上ない美しさを恋しく思ったのでした。

 

しかしそれでもまだ、彼の恐ろしい決意が揺らぐことは、ありませんでした。

 

嫉妬で怒り狂うカウヒ

彼は巷(ちまた)で噂されている婚約者の不貞を、より一層腹立たしく思ったようでした。

 

なぜって、彼女はあんな価値のない奴らに、夢中になったのですから。

それだけじゃない。奴らは道徳的にも卑劣だし、容姿だって醜いじゃないか!

 

それに比べると、カウヒの方は身分が高く名士でもありました。

しかも、男としてのカッコ良さだって、かなりのものなのです。

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.