夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

028 太陽を捕まえる:(3) 太陽を輪縄で捕まえる


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(前回からの続き)

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輪縄で光束(脚)を捕える

マウイはロープを抱えて再びハレアカラに登ると、山の上に陣を敷きました(1)。

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太陽が頭上まで来ると、彼はロープで輪縄を作り、太陽をめがけて投げました。

輪縄が大き目の光束を捕えると、それを荒々しく引きちぎりました。

 

このようにして、彼は次々と太陽の光束を捕えては、引きちぎって行きました。

そして遂に、強い光束を全部、引きちぎってしまったのでした。

 

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お前を殺してやる

マウイは勝ち誇ったように叫びました。

 

「さあ、捕まえたぞ。

これからお前を殺してやる!

あまりにも速く動き過ぎた罰だ。」

 

命だけは助けて

すると太陽が言いました。

「ああ、命だけは助けてくれ!

これからは絶対に、もっとゆっくり動くから。

 

ほら、良く見てくれ! 

あんたは、わしの強い脚を全部が全部、引きちぎった訳じゃあないんだ。

そして、わしの弱い脚だけを残した訳でもないさ?」

 

マウイと太陽が理解し合う

こんな風に話しながら、彼らはお互いに理解し合い、約束することが出来ました。

 

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マウイは、太陽が自分のコースを進むことを、許しました。

一方、太陽はそれ以後ずーっと、より一層ゆっくりと動くことにしました。

 

またその約束により、昼の長さが一年の中で変わることになりました。

すなわち、ある季節には他の季節よりも、昼が長いのです。

 

このお話しが山の名の由来

そしてこの出来事こそが、あの山に名前を与えたのでした。

それは「アレヘカラ (太陽を輪縄で捕まえる者)」 です(N.1)。

 

そうです、「ハレアカラ」 ではなく、正しくは「アレヘカラ」と呼ばれるべきなのです。

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) アレヘカラ(Alehe-ka-la):

アレヘカラは、 alehe=snare , ka=the, la=sun,ですから、英訳すると "snare the sun"、その和訳は「太陽を輪縄で捕まえる」となりそうです。

しかし、原文は"Alehe-ka-la (sun snarer)"と記しているので、ここでは、(英文) の和訳を (太陽を輪縄で捕まえる者) としました。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales,Ⅱ.Exploits of Maui. Rev.A.O.Forbes, Ⅰ. Snaring the Sun, p.31-33.