(前回からの続き)
輪縄で光束(脚)を捕える
マウイはロープを抱えて再びハレアカラに登ると、山の上に陣を敷きました(1)。
太陽が頭上まで来ると、彼はロープで輪縄を作り、太陽をめがけて投げました。
輪縄が大き目の光束を捕えると、それを荒々しく引きちぎりました。
このようにして、彼は次々と太陽の光束を捕えては、引きちぎって行きました。
そして遂に、強い光束を全部、引きちぎってしまったのでした。
お前を殺してやる
マウイは勝ち誇ったように叫びました。
「さあ、捕まえたぞ。
これからお前を殺してやる!
あまりにも速く動き過ぎた罰だ。」
命だけは助けて
すると太陽が言いました。
「ああ、命だけは助けてくれ!
これからは絶対に、もっとゆっくり動くから。
ほら、良く見てくれ!
あんたは、わしの強い脚を全部が全部、引きちぎった訳じゃあないんだ。
そして、わしの弱い脚だけを残した訳でもないさ?」
マウイと太陽が理解し合う
こんな風に話しながら、彼らはお互いに理解し合い、約束することが出来ました。
マウイは、太陽が自分のコースを進むことを、許しました。
一方、太陽はそれ以後ずーっと、より一層ゆっくりと動くことにしました。
またその約束により、昼の長さが一年の中で変わることになりました。
すなわち、ある季節には他の季節よりも、昼が長いのです。
このお話しが山の名の由来
そしてこの出来事こそが、あの山に名前を与えたのでした。
それは「アレヘカラ (太陽を輪縄で捕まえる者)」 です(N.1)。
そうです、「ハレアカラ」 ではなく、正しくは「アレヘカラ」と呼ばれるべきなのです。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) アレヘカラ(Alehe-ka-la):
アレヘカラは、 alehe=snare , ka=the, la=sun,ですから、英訳すると "snare the sun"、その和訳は「太陽を輪縄で捕まえる」となりそうです。
しかし、原文は"Alehe-ka-la (sun snarer)"と記しているので、ここでは、(英文) の和訳を (太陽を輪縄で捕まえる者) としました。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales,Ⅱ.Exploits of Maui. Rev.A.O.Forbes, Ⅰ. Snaring the Sun, p.31-33.