夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

023 ヘイアウを造る:(1) モオキニ(ハワイ島ノース・コハラ)


スポンサードリンク

(新しいお話の始め)

ヘイアウはメネフネの素晴らしさの象徴

メネフネは島々の色々な場所に、たくさんのヘイアウ(古代の神社)を造ったとして、高く評価されています(*1)(N.1)。

 

コハラのホノイプ近くには、モオキニ・ヘイアウがあります(N.2)。

このヘイアウは、メネフネたちの仕事の素晴らしさを、実証するものとして注目されています。

 

ポロル渓谷の石を使え

建設場所として選ばれたのは、草深い平原でした。

 

f:id:o_hanashi:20210517101951j:plain

 

この工事に使う石を選ぶ中で、どういうわけか、

すぐ近くで採れる石は良くない、とされてしまいました。

そして代わりに選ばれたのは、20Km近くも離れたポロル渓谷の石でした。

 

f:id:o_hanashi:20210517101239j:plain

 

一列に並んで手渡しだ

言い伝えによるとメネフネたちは、採石場から建設場所まで、延々と一列に並んだのだそうです。

その列はポロルからホノイプまでの全距離に渡っていました。

 

f:id:o_hanashi:20210517101548j:plain

 

こうしてメネフネたちは、工事に必要な全ての石を、手から手へと渡して運んだのでした。

 

そして一夜のうちに完成

工事は夜の静寂と共に始まりました。

そして翌朝、雄鶏が最初に鳴く夜明けには、もう終わっていました。

 

たった一夜のうちに、あのモオキニ・ヘイアウが完成したのでした。

 

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) ヘイアウ(heiau):

ヘイアウとは、かつてのハワイの人々が神を祀(まつ)った施設で、日本で言う神社のようなものです。

その大きさや形状は多種多様で、床面一つ見ても、石を入念に敷き詰めたものから、土を均しただけのものまであります。

(N.2) モオキニ・ヘイアウ(heiau of Mookini):

モオキニ・ヘイアウは、ハワイ島ノース・コハラにある最大級のヘイアウです(*2)。

その平面寸法は、約75m X 約39mに及び、壁の高さは約2〜4mに変化しています。

数多いヘイアウの中でも最も古く、かつ神聖なものの一つとされています。

現在のヘイアウは、13〜14世紀にハワイに宗教をもたらした、パアオ(Pa'ao)により造られたと考えられています。

一方、伝承によると、メネフネにより一晩で造られた、とされています。

 

f:id:o_hanashi:20210517114322j:plain

 

(注記)

(*1) T.G.Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X. Stories of the Menehunes, As Heiau Builders Thos.G.Thrum, p.116-117.

(*2) U.S. National Park Service: Mo'okini Heiau.