夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

021 ケクプアのカヌー:(3) カヌーはこうして引き出せ!

(前回からの続き)

このようにメネフネたちがカヌーを完成させ、海へ引き出す準備が出来ました(*1)。

 

しっかり見張るんだぞ

そこで首長のカカエはケクプアと従者たちに、

「しっかり見張るんだぞ。」 と言って、次のように指示しました。

 

「カヌーの先端部『プ』には、ロープを持った男が2人いるだろう。

1人はカヌーの右舷と左舷の間を、素早く行き来するだろう。

そいつがこの仕事の棟梁で、『パレ』と呼ばれる奴だ(N.1)。

 

さらに後ろには、ガイド・ロープを持った男が何人かいるだろう。

このロープは『カウェレウェレ』と言って、カヌーの横転を防ぐものだ(*2)。

それを持っているのがカフナ、カヌー造りの監督さんたちだ(N.2)。」

 

首長が念押しする

カカエは、「この指示を忘れるんじゃないぞ!」 と、 ケクプアと従者たちに念を押しました。

 

それから、さらにこう指示したのでした。

「メネフネたちに出会ったら、この仕事の注文を出して、

カヌーを海に引き出す道すじを教えて上げなさい。」

 

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) パレ(pale):

ハワイ語のパレには 「守る」 と言う意味があります。

このお話しの棟梁パレは、山の中で完成したカヌーをうまく誘導して、海辺まで安全に引き出します(*3)。

そのために、パレはカヌーの動きをいつも監視していて、作業者に指示したり自らカヌーを押したりします。

(N.2) カフナ(Kahuna):

ここで言うカフナはカヌーの専門職人で、より正確には 「カフナ・カライ・ワア(kahuna ka.lai wa'a)」と呼ばれました。

当時のハワイ社会では専門職人だけでなく、様々な分野の専門家がカフナと呼ばれ、その代表格が神官・医者・呪術者などでした。

厳しい階級社会だったハワイでは、カフナは支配者階級アリイ(首長)に次ぐ地位にありました。

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(注記)

(*1) T.G.Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X. Stories of the Menehunes, Kekupua's Canoe Thos.G.Thrum, p.114-116.

(*2) Polynesian Voyaging Society: (Home Page)/Canoe Building/Parts of a Traditional Canoe.

(*3) N.N.Y.Chun & R.Y. Burningham(1995): Hawaiian Canoe-Building Traditions, Revised Ed. Kamehameha Schools Press, Honolulu.