(前回からの続き)
メネフネは超自然的な存在
メネフネは超自然的な存在である、と考えられています(*1)。
そのメネフネは、彼らの上に立つ「ある者」の統治下にありました。
その「ある者」について、彼らはこう考えていました。
「パワーがあり、かつ、自分たちを支配する権限がある。」
その「ある者」 が、メネフネを色々な山や丘に割り振りました。
そして彼らは各々に示された地に、ずーっと住み続けたのでした。
パパとワケアの時代が来るまでは、唯一このメネフネだけが、ハワイ諸島の住民だったと言われています(N.1)。
声はすれども姿は見えぬ
メネフネの姿は、普通の人々には見えませんでした。
彼らを見れるのは彼ら自身の子孫、または子孫と何らかの繋(つな)がりがある人だけでした。
その反面、メネフネの声や鼻歌は、多くの人々に聞こえたのでした。
しかし、メネフネを自分の肉眼で見るという素敵な贈り物は、彼らの血縁者だけに与えられたのでした。
メネフネは、子孫たちからお願いされると、いつも喜んで引き受けました。
そして超自然的なパワーを発揮して、幾つかの素晴らしい作品を完成させたのでした。
(終わり)
(ノート)
(N.1) パパ(Papa)とワケア(Wakea)の時代が来るまで:
パパとワケアは各々、ハワイの創世神話クムリポ(Kumulipo)に登場する、大地の女神と天空の神です。
神話の中でパパは、ハワイの島々を生みながら一時期タヒチに帰っています。
このことから「パパとワケアの時代」とは、タヒチからの移住者によるハワイ創世神話の時代、を指すと思われます。
そうすると、「パパとワケアの時代が来るまで」とは、「タヒチからの移住が始まる前」を指すと言えそうです。
(注記)
(*1) T.G.Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X. Stories of the Menehunes, Moke Manu's Account Thos. G. Thrum, p.109-110.