素晴らしい人たち
メネフネは素晴らしい人たちだ、と思われていました(*1)。
彼らは背が低くて、非常に行動力があります。
どんな仕事を頼まれても、彼らはいつも一致団結して取り組みます。
たった一晩で完成だ
また、メネフネには独特のルールがあります。すなわち、
どんな仕事でも一旦引き請けたら、ひと晩で完成させるのです。
もしも出来なかったら、未完成のまま放置されます。
彼らがその同じ仕事を再開することは、2度と無いのです。
このことを指して、人々はこう言うようになりました。
「ヘ ポ ホオカヒ, ア アオ ウア パウ(N.2),」
--- たった一晩で、そう、夜明けまでには完成だ。
ハワイ諸島の「最初の住民」
メネフネの歴史については、信頼できるものがありません。
誰一人として、彼らがどこから来たかを、知らないのです。
しかし伝承によると、彼らはハワイ諸島の 「最初の住民」 なのです(N.3)。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) モケ・マヌさんが語る(Moke Manu's Account ):
「第Ⅹ章 メネフネのお話し集」 の始めの2つは解説文で、1番目が 「1. ハワイはブラウニーの故郷」でした。
ここからは解説文の2番目、 「2. モケ・マヌさんが語る」 です。語り部のモケ・マヌ さん(1837年生まれ) がハワイ語で語り、スラムさんが英語の文章にしました。
(N.2) ヘ ポ ホオカヒ, ア アオ ウア パウ(He po hookahi, a ao ua pau):
これは、メネフネの仕事の特徴を表す大切なハワイ語です。ご参考までに、ハワイ語の単語毎に対応する英単語を括弧内に付記すると、次の通りです。
He(A) po(night) hookahi(only one), a(until) ao(dawn) ua(become) pau(completed).
(N.3) 最初の住民(original people):
ハワイ諸島はもともと無人島でしたが、ある時期に、西から移動してきたポリネシア人が、移り住み始めました。初めはマルケサス(Marquesas)諸島から、その後、タヒチからの移住が本格化したとも言われます。
しかし、この語り部モケ・マヌさんの話しでは、メネフネこそがハワイ諸島の「最初の住民」です。マルケサスやタヒチから人々がやって来る前から、ハワイ諸島にはメネフネが住んでいたのです。
(注記)
(*1) T.G.Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X. Stories of the Menehunes, Moke Manu's Account Thos. G. Thrum, p.109-110.