(前回からの続き)
メネフネはポリネシア人の祖先?
ハワイには「クムホヌア」という伝説があります(N.1)(*1)。
フォルナンダーは、「この伝説の中で、ポリネシア人は選ばれた民だった」 と主張し、こう続けています(N.2)(*2)。
「ポリネシア人はメネフネの子孫であり、
そのメネフネはルア・ヌウの息子である(N.3)。-- 以下略 --
メネフネという名の国は、はるか昔に姿を消してしまった。
そのために、後から生まれた色々な伝説が、メネフネという語を不名誉なものに変えてしまった。
すなわち、それらの伝説の中でのメネフネは、ある時は独立した一つの種族として描かれた。
しかし、またある時はドワーフの一種族とされ、腕の立つ職人だが悪賢く抜け目ない小人として描かれた。」
メネフネ伝説の真相に迫る
それではここで、次章以下にご紹介するお話しの記述方法と、お話しの選び方について、ご説明しましょう。
次章をまとめるに当たり、初めにお話しに関する情報を、様々なハワイのネイティブから収集しました。
続いて、選ばれたお話を、英語で表現する作業に入りました。
そこでは、出来る限りネイティブの言葉に忠実な表現になるよう、翻訳者たちは常に注意し続けました。
こうすることで、ネイティブの考え方や特徴がより明確に表れ、読者が真相を捕え易(やす)くなるからです。
(終わり)
(ノート)
(N.1) クムホヌアの伝説(The Kumuhonua Legends):
「クムホヌアの伝説」の、クヌホムアとは「地上に最初に生まれた人」 を意味します。
この伝説の内容は、フォルナンダーらが聖書に倣って創作したものであることが、後日、明らかにされました。
(N.2)フォルナンダー(A.Fornander:1812-87):
フォルナンダーはスウェーデンに生まれてハワイに移住し、民俗学者・ジャーナリスト・裁判官として活躍したハワイの著名人です。
ルア・ヌウと言う名前は、「ヌウ(Nu'u)のⅡ世」 であることを示しています。
ヌウはクムホヌアから13代後で、聖書の中で大洪水時代に生きたノアに相当する人です。
このヌウから10代後で、聖書のアブラハムに相当するのが、ルア・ヌウです。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X.Stories of the Menehunes, p.107-109.
(*2) Abraham Fornander(1878): An account of Polynesan Race, Its Origin and Migrations, Vol.Ⅰ, p.55.